第48回 世界が2つに分かれていた時代      

                        

 高度経済成長を続けていた日本ですが、世界は「冷戦」の時代でした。ソ連を中心とする社会主義国は、主に東ヨーロッパの国々。アメリカを中心とする資本主義国は、主に西ヨーロッパの国々で構成されました。なぜ冷戦が始まってしまったのかというと、第二次世界大戦が終わったあと、戦場になってしまったヨーロッパ諸国と日本、朝鮮、中国の支配権をめぐって、ソ連とアメリカが争ったからでした。そして、ソ連は、日本こそアメリカに獲られてしまいましたが、近隣諸国(北朝鮮、中国、東ヨーロッパ諸国)を社会主義の国にすることに成功したのです。

 

 一番の被害国は「ドイツ」だったかと私は思います。「西ドイツ」と「東ドイツ」に分けさせられ、「ベルリン」という都市は、東ドイツの領地内にあるにもかかわらず、東西に分割されて「ベルリンの壁」が築かれてしまいます。町の半分が資本主義、半分が社会主義でした。

 

 「冷戦」という対立は、あらゆる分野に及びます。顕著だったのは、宇宙開発ですね。ソ連とアメリカが競って宇宙へと飛び出しました。ソ連が有人飛行をすれば、アメリカは月へと宇宙飛行士を送りました。勝負がついたとかいうものではありませんが、この競争により、世界的に宇宙開発の技術が進んだことは確かです。また、両国は「核兵器」の保有を争いました。日本での威力を見た両国は、打ち込まれないように、互いに核兵器のレベルをあげていきました。1962年、アメリカのすぐ南のカリブ海最大の島であるキューバという社会主義国は、アメリカの攻撃を恐れて、ソ連の援助でミサイル基地を建設しようとしました。これにはアメリカもあわてました。キューバでソ連製の核ミサイルを発射されれば、アメリカはひとたまりもありません。あわてて海上封鎖をしてソ連の船をキューバに近づけさせない措置をとり、ソ連と交渉しました。このキューバ危機をきっかけに、両国の首脳の間にホットライン(直通電話)が引かれましたし、核兵器の使用を互いに控えることにしました。(だって両国が互いに核ミサイルを発射したら、それこそ地球の終わりですから) この米ソの対立は世界の各国に影響し、地域紛争などをひきおこしました。

 

 1985年に「ゴルバチョフ」がソ連共産党書記長に就任し、アメリカを初めとする資本主義国との関係を良好なものにしていきました。それにより、東ヨーロッパの社会主義国が崩壊していきます。ドイツの「ベルリンの壁」も1989年11月に壊され、東西ドイツが統一されました。各地で起こっていた地域紛争も、その多くが終結しました。

 

 実は中国でも「天安門」で学生を中心とする人たちの反乱が起こりましたが、軍隊により抑えられてしまいましたので、中国は共産主義のままです。


  現在のロシアについて少し補足しておきましょう。ソビエト連邦は解体され、いくつかの国に分かれました。その中でも最大の「ロシア連邦」が昔の「ソ連」の立場を引き継いでいます。「ゴルバチョフ」のあと、「エリツィン」が大統領になり、その後を「プーチン大統領」が統治しました。ゴルバチョフとエリツィンは、資本主義経済を社会主義に混ぜようとしたようですが、あまりうまくいかず、プーチンになってからは、また社会主義の色が濃くなったということです。しかし、ロシアにしても中国にしても(北朝鮮にしても)、資本主義経済を否定することは、かなり難しくなってきているようですね。
(特に中国は、資本主義の国のイギリスが統治し自由経済が発達していた香港を返還されましたが、返還と同時に国がその経済を管理するわけにはいかず、結局自由経済のまま中国が統治しています。そして、その自由経済の考え方が嫌でも国内に広まっていっている途中にあるのが、現在の中国です。国民は自分で稼げることを覚えれば、もっともっと稼ごうとします。中国に自由経済が広まったら、隣国の北朝鮮国民もそれを知ることになるでしょう。北朝鮮は崩壊します。そうすれば拉致された日本人も帰ってこられます。その日が一日でも早くくることを私は期待します。)

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